広島高等裁判所岡山支部 昭和26年(う)320号 判決
所論は要するに、原審において弁護人は被告人が犯行当時心神耗弱の状態にあつた旨主張したのに拘らず原審はこの点について判断をしていないから原判決はこの点において破棄せらるべきものであるというに帰する。
審按するに、原審第一回公判調書によれば「弁護人は、公訴事実に就いては誠に申訳ない次第であるが被告人の性格智能程度其の他諸般の事情御考慮の上出来得る限り寛大に願い度いとの趣旨の弁論をした」ことが窺はれるのであるが、右は少くとも心神耗弱の主張がなされたと解するのが相当である。然るに原判決書によれば原審はこの点につき判断を加えていないこと明らかであるから、結局原判決には理由を附しない違法がある。
(辯護人の控訴趣意)
一、原判決は法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであると思料致します。
即ち原審公廷に証拠として提出せられた岡山少年保護鑑別所より岡山家庭裁判所宛の心理テストの結果報告によれば、被告人の知能指数は「魯鈍」とあり、又同じく証拠として提出された少年調査票では鑑別の知能は「魯鈍」とあり又摘記事項に「精神病質的傾向がかなり強度に顕はれている」との記載があり、これらは即ち被告人が心神耗弱であることを示すものと思料せられるのでありますが、原審判決はこの点につき、何ら法令の適用をして居らず、その適用の如何は判決に重大な影響を及ぼすこと明らかであると考えます。